まずはイギリスに拠点を作る準備から始まりました。レーシングカーの源流はイギリスにあるという歴史的な背景から、F1に参戦しているほとんどのチームはイギリスに本拠地を構えていたので、円滑にコミュニケーションをとる上で我々もそうしました。トレーラーや倉庫などの準備、機材購入やスタッフ募集から始めましたから、試行錯誤の連続でした。最も頭が痛かったのは、タイヤテストをしたくても、テストをしてくれるチームがなかなか見つからなかったことです。
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欧米人にとってモータースポーツは己の文化という意識が強く、極東の島国のF1タイヤの実力は未知数でしたから、冷ややかな対応は当然のことでした。トップチームほど新参者に機会を与えるような冒険はしないものです。モータースポーツの世界は実績重視の非常に保守的な世界なのです。そのような状況の中、アロウズという中堅チームがテストチームの名乗りを上げてくれました。アロウズのチームのボスとは、オーストラリアのツーリングカー時代から付き合いがあり、ブリヂストンの技術を認めてくれていました。おそらくボスの狙いは、「トップチームに先駆けて、自分のチームがブリヂストンのタイヤをうまく使えば、彼らにひと泡吹かせられるだろう」ということだったと推測します。実際に彼の狙いは的中しました。